「いい時計」ってなんでしょう?

私は使った人の思い出がつまった時計っていいなって思います。
 
いまは数百円でも腕時計が買えますし、数百万 数千万なんていう腕時計もあったりとすごく価格に幅があります。しかも「時間を知る」という意味では町中いたるところに時計が表示されていますし、携帯電話などでもすぐに知ることができます。
 
 
 
私が持っている時計で私のおじいちゃんが使っていた懐中時計があります、実は部品がなくて今は止まったままですが、いつか部品を作れる方にお願いしたいと思っています。
 
その時計を見ると25度の焼酎をのみ「しんせい」のタバコを吸い、たまに桃山というパイプのタバコを吸っている(ふかしている)おじいちゃんを思い出します。10月17日が命日で、おじいちゃんが座っていた茶色の座椅子の隣にある戸棚には「黒砂糖」が隠されていていつも狙って(笑)いました。それから猫は「たま」でよく「たま」用のキャットフード 赤と青の2種類があって、いつも青を買いにお使いに行きました。などなど 走馬灯のように思い出します。
 
私の中ではそのおじいちゃんの懐中時計が「おじいちゃんと過ごした記憶のスイッチ」になるんです。
 
 
そしてこの腕時計は私が二十歳の時に成人式の記念に両親からプレゼントされた時計です
 
 
父が「おまえの好きな時計選んで良いよ」といってメーカーさんのカタログをわたされて選んだ時計。すでにその頃から機械式を選んでました(笑)きっとそれは父の時計店の修理をしていた方の存在が大きいんですが、「機械式時計ならメーカーの部品供給が終わっても修理できるから」っていう一言で選びました。
 
着なれないスーツに身を包み、成人式の会場に向かったこと。懐かしい友達にたくさん会ったこと。記念に彫られた「96.1.15 成人式 SHIN」。二十歳の時を振り返るのはくすぐったいんですが・・・まぎれもなく大切に使い続けたい時計です。
 
ちなみにこの時計の値段は安いんですよ。その当時の価格で¥15,500 日本製の時計で 『SEIKO ALBA SUCCESS VINTAGE』 。もうすでにメーカー希望小売価格の価値は通り越してしまって、今回もこのブログを書くためにその当時の値段を調べたくらいどうでもよくて。すでにメンテナンスにかけた金額の方がはるかにかかっていますから(笑)
 
たぶんこれは時計に限ったことではなくてその「モノ」の価値は使い手の心の中にあるんだと思います。

たかが腕時計、されど腕時計・・・・

たかが腕時計、でもそうでもない腕時計の話です。
 
昔は「就職祝い」に腕時計。なんていう時代もありましたがいまは町中で【時間】を確認できますし、携帯電話でいつでも正確な時間を知ることができるので腕時計をしない方が増えてきました。腕時計の価格もどんどん安くなって100円均一のお店にもあります、すごいですよね。

「父が大切にしていた腕時計です動きますか?」

電池交換で動き出すとすごく喜んでいただいて「あっ 時計屋さんで良かったな」って思う瞬間です。それと同時に亡くなったお父さんがそこに息づいているような、そこに力をもらっているような息子さんの表情がなんともたまらなく心に響くんです。

普段何気なく使う腕時計って人によっては毎日使いますし、一度つけてしまえば朝から晩まで相棒として【時間】を教えてくれます。仕事で失敗した時やうれしい時、発表の時間、待つ時間など節目節目で見ているのが腕時計なんですよね。だからこそ余計その腕時計に使っていた人の魂があるような。

一方で同じ形見の腕時計でも「この時計価値ありますか?」って聞かれることがあります。

内心は『えっ 価値?ですか?』と思いつつ「中古の価格ですか?」とお尋ねします。中古の時計は扱っていないので正確な相場はわかりませんが、だいたいの価格がわかるものに関してはお伝えしています。その価格を聞いて面倒くさそうに「じゃ処分してください」と言われ、とても悲しくなることがあります。
(もちろんいろいろな事情があるとは思いますが・・・思うんですが・・)
私は自分が大切に使っていた時計を受け継いで使ってもらえたらすごくうれしいです。そして喜んで使ってもらえるような関係を築きたいと思っています。

先日は50代ぐらいの女性のお客様が、若い男性に人気の綺麗なブルーカラー文字盤の腕時計を電池交換で持ち込まれました。住宅街にある小さな当店では営業時間内に来れない息子さんの依頼でお母さんが持って来られることがよくあります。今回もそうだと思っていました。

電池交換を終えて動き出した時計を見て「あ~よかった、この時計は息子が津波の時にしてた腕時計なんです」とのこと。時計の息遣いを確認するように大切に大切にしまうお母さんの表情がとてもうれしそうでした。
きっと息子さんも喜んでいると思います。

震災後、親戚のおばあさんは当店でお買い上げいただいた腕時計を身につけていたので特定するきっかけとなりました。5年ほど前に当店で息子さん夫婦がプレゼントで購入していただき、その時の型番を元にその時計の特徴と身に着けていた時計の特徴が合致しました。まさか腕時計がそのような役割をしてくれるとは思っていなかったのでとても驚いたのと同時に心から「見つかってよかった」と思いました。

『腕時計』がその人を見つけるきっかけとなったり、世代を超えて心を通わせるモノとなったり、亡き人を思い出すモノとなったり・・・・・ただの「時間を見る道具」だけではないのだと思いました。

このブログでは日本の時計が大好きなタイムガーデン店長加藤が「腕時計を大切に使いたい」「世代を超えて楽しめる腕時計を探している」方のために書いていきます。